父への I Love You – サンパギータの香り漂うNAIA II (妄想小説)

私はNAIAに向かうタクシーに乗り込むとすぐにタクシーの運転手が話しかけてきた。

私は今回の滞在中に行った重要な取引の件で思索したかったのだが、なんとはなしにタクシーの運転手との会話につきあうことになった。

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タクシーの運転手、歳の頃は20台半ばくらいだろうか。年の割にややふけた風貌なのは長年不健康な生活をしているせいだろう。窓の外にEDSA大通りを行き交う大量の自動車が見えた。

この運転手、日本人とのハーフらしく、17歳から数年間日本の父親の下で暮らしたこともあるそうだ。

日本では学校には通わず、いろんな仕事をしていたとか。

どこにでもある話だが、何の気なしに私は彼に聞いてみた。

「父親のことは好きか?」

すると、彼は「Sometimes because he is my biological father.」と答えた。

biological という単語に父親との微妙な距離感を感じるが、フィリピンには育ての父親がいるからそういう言い方をするのだろう。

また、彼は「日本人の父親は小うるさかったのであまり好きではない」と付け加えた。

それを聞きながら、私は窓の外のパラニャーケの汚らしいドブ川を見つめていた。

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空港について、荷物を下ろすと、このドライバーは「クリスマスプレゼント」と言って、余分なチップを要求してきた。

日本人相手に日本の話をしたので、100ペソくらい余分にもらえると思っているのだろう。

そこで、私は彼の予想を大きく上回る500ペソを渡しながらこう言った。

“This tip is not from me. It’s from your father. You must love your father, ok? All fathers love their son wherever they are. You should know that. Give a call to your father today and tell him ‘I love you’. OK?”

(これは、私からのチップじゃない。君のお父さんからのものだ。君はお父さんをちゃんと愛さないといけない。父親というものはどこにいようと息子を愛しているものだ。君はそれを知らないといけない。今日、お父さんに電話しなさい。そして “I love you”と言いなさい。わかった?)

そうすると、彼はぽかんした顔をした。

“Anyway, I’ve gotten go. Thanks (for the driving). Have a nice day and happy christmas.”

私がそう言って、荷物を持って立ち去ろうとすると、彼は「わかったよ」と言いたげに私の体を二回軽く触り、 500ペソを受け取った。

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フィリピンに何度か通っているうちにこういう、こういう単なる無駄としか思えない行為を時々したくなってくる。

私は別に彼らに何かを期待しているわけではない。もちろん自己満足なヒューマニズムを感じているわけでもない。

あえて言えば「惰性」のような何かが私をそうさせるのだ。

自分が今までの人生で保ってきた規範、それを壊されたくないため、自分の心を破壊されないための「予防のような何か」のために行なっているような気がしてならない。

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空港内に入ると、私はさっさとチェックインを済ませ、いつもと同じようにマッサージ店でツインマッサージを受け、すぐにゲートへと向かった。

あのタクシーの運転手はその日、父親に電話しただろうか?きっと電話していないだろう。500ペソはローカルカラオケの飲み代にでも消えたのが関の山だろう。

そうだったとしても別に私は何かを感じるわけではない。

その諦観、諦観こそが私のフィリピンに対する思いを象徴するものなのだ。

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この日もNAIA(マニラ国際空港)はサンパギータの薫りなど一切漂わず、相変わらずカビ臭さでいっぱいだった。

(サンパギータの香り漂うNAIA 完)

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この世に生を受けたばかりの赤ん坊を侮辱し、死んだ方をパスポートをネットで晒し冒涜する寒汰の非人道的行為については下記のエントリを御覧ください。

死者への冒涜

人の誕生と人間としての矜持

絶句レベルの寒汰の公開オナニーの詳細に関しては以下のエントリを御覧ください。

絶句!釧路臭皇・公開オナニー事件

伝説の寝たきり男と寒汰の対決は下記のエントリを御覧ください。

マニラでも指折りの美味しい料理が味わえるレストラン、大虎の情報はこちらをご参照ください。

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About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

8 Responses to 父への I Love You – サンパギータの香り漂うNAIA II (妄想小説)

  1. joe says:

    先月の22日に成田へ戻りました。 最近はメーターを使うタクシーが多いですが時期が時期だけにその日の運転手はメーターを使いません。

    空港に到着して何も言わずにP500を出すとP100をお釣りとして差し出しましたので運転手はP400と決めていたみたいです。

    「in your pocket!」 運転手は驚いた顔してましたね。まぁ、どうでもいいんです。(笑)

    @通常は自宅から空港まではP120~P150

    • この当時、やはり高いシーズンで固定料金で200ペソと言われた気がします。
      そこで500ペソ渡したのだから、よく考えれば大した高額でもなかったですね。
      千ペソ渡しておくべきでした。

      チップ渡すのが当たり前の国に行き慣れていると、フィリピンでも普通にチップを渡しますよね。
      普通にチップを渡すと相手が確かに喜ぶのもわかります。
      自分も気持ちよく、相手も気持ちよくなる。
      これが普通のやりとりなんでしょうね。

      なにがなんでも、チップを渡さないことを生きがいにしている寒汰には一生理解出来ない世界でしょうねw

  2. sarisari says:

    男の中の男(くしろでゴミラーメン屋の社長らしい)はブエンディアから空港まで100ペソか150ペソか気になるらしい。金払いたくないならチップいらないジープ乗り継げば良いんだよ。

    空港だとタクシーの運転手も期待するだろうしメータープラス100以上であとは気分次第で丼勘定。それが普通だと思ってました。金使いたくないならよそさまの国にいかなくていいでしょう。

    • 寒汰は何が何でも絶対にチップを払わないみたいですね。
      それが生きがいみたいですw
      仮にも年商3400万円の店の経営者が50ペソ単位でケチるのはみっともないですね。

      まさにおっしゃるとおりで、ケチりたいなら毎月10万円以上もつかってフィリピンに買春旅行しなけりゃいいんですよww

  3. GAGA says:

    >標準的運賃を札で握り、小銭入れを備えます。

    1ペソ単位でチップ無しで払うんでしょうね。ドライバーが気の毒だ。

    チップを加えた額で計算して「○○ペソ釣りをくれ。」と言って嫌がられた事は無いですね。

    1箇所経由してNAIAに行った時に途中で「メーター+50ペソ」とドライバーに言われた事があります。数年前に知人にNAIAまで利用した場合のチップの相場があるとしたら50ペソ位じゃないか?と言われた事もある。チップ無しで1ペソ単位で支払う日本人が居るから「メーター+50ペソ」って事前に言うのでしょうね。

    50ペソって日本で缶コーヒーも買えない価格。そのくらい余分に払う事って心意気にすらならない価格で誤差範囲だと個人的には思う。

    寒汰はエアポートメータータクシーと普通のタクシーの料金算出方法が「距離」と「距離+時間」だと言っているけどそれは本当なんですかね?あれだけ渋滞の多い国でまともな料金算出に思えない。

    sarisariさん、たまには大虎に来てくださいよw

    • 寒汰はドケチだからチップを払うのが嫌なのもあるけど、そもそもチップの払い方すら知らないんじゃないですかねw

      > チップ無しで1ペソ単位で支払う日本人が居るから「メーター+50ペソ」って事前に言うのでしょうね。

      そうそう、ドライバーも嫌でしょうね。わざわざそんなことを言うのは。
      でも、何が何でもチップを払いたくない寒汰のような日本人がいるから仕方無い。

      クーポンタクシーは純粋に距離(正確には区域)だけですけど、メータータクシーだと時間が加わりますね。
      ただ、寒汰はクーポンタクシーを正確に認識できていない気がします。

      • GAGA says:

        >でもねイエロータクシーで正規で170ペソで行くところと、タクシーの150ペソ。
        方や距離定額。方や距離時間制併用。

        こう書かれているとイエロータクシー(エアポートメータータクシー)の事を定額料金のクーポンタクシーだと思っているのか?距離のみで計算するメーターを距離定額だと思っているのか理解に苦しみますね。

        いつもエダモトトラベルに日本語が出来るドライバーを頼んでいて空港からタクシーに乗った事が無いのかもしれません。

      • そもそも寒汰の言うイエロータクシーって意味不明ですからねwww

        毎回エダモトトラベルの日本語ができるドライバーに送迎を頼んでいる可能性はありますね。
        TOSHIYAさんが酔っ払うと何度も何度も言ってました。
        「寒汰のおっさんな、あのおっさん、未だに一人でタクシーよう乗らへんねんで。わしがついてやらなタクシー一つ乗られへんのはお笑い種やろ。ほんま、ええ恥さらしやで、あのキチガイのオッサン。がっはっはっはっは。」

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