500ペソの価値の男 I

寒汰はマニラに来ると、知人に電話をしまくるのが常である。

「ゲヒヒヒヒ、飯を食いにいくぞ。」

人を食事に誘うにも上から目線で凄まじく偉そうにするのが寒汰のスタイルであった。

もちろん、大抵の場合、にべもなく断られるのである。

当たり前である。寒汰のような危険人物と食事などしたらどんなトラブルに巻き込まれるかしれたものではない。

「危険から距離をおく」 という言葉は寒汰の口癖であるが、

寒汰は寒汰自身が一番の危険で、 だからこそ誰も近寄ってこないことに 全く気づいていなかった。

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それにだ、寒汰のように臭くて気持ち悪い男と食事をするなど、 普通の人間にはとうてい耐えることではない。

カルマが落ちることはあっても、よいことなど何一つない。

寒汰と食事をするくらいなら、 ホームレスのジジイと釜でも掘り合ってるほうがまだいくらかましだろう。

寒汰がどういう人間か知られていなかった昔ならともかく 今では寒汰と食事に行こうとする人間などマニラにはほとんどいなかった。

誰からも食事を断られるようになった寒汰はウンウンと唸りながら考えた末、

最近はこういう提案をするようになった。

「いいか?食事は俺のおごりだ。どうだ?凄いだろう? 俺を尊敬しただろう?ゲヒヒヒヒ」

これにはさすがのマニラ在住組も驚いた。

あのドケチの寒汰がとうとう「おごる」と言い出したからである。

ドブネズミでさえ逃げ出すほどドケチの寒汰が人に食事をおごるなど、

恐らく本人にとって清水の舞台から飛び降りる覚悟なのだろう。

あまりの物珍しさに興味をもったのか、4月のある日、とうとう3人の男が寒汰と食事を一緒にする気になった。

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寒汰一行が訪れた店はマラテの丹波。 焼肉が500ペソで食べ放題の店である。

「ゲヒヒヒヒ、お前ら、いくらでも食べていいぞ。なんといっても、この店は食べ放題だからな。

500ペソで食べ放題なんだ。 お前らがいくら食べても俺の出費は変わらないんだ。

どうだ?俺は頭がいいだろう?俺は偉いだろう? 俺を尊敬しただろう?ゲヒヒヒヒヒ」

3人の男は思わず顔を見合わせた。

「また安いの話かよ」

珍しく寒汰が人に豪勢な食事をおごると言うから来てみれば、結局500ペソで食べ放題の店なのである。

ドケチの寒汰は目先の金しかいつも考えられない男なのだ。

いつも目先の小金にとらわれて、もっと大事なものを失っているのに相変わらず寒汰は気づいてなかった。

「この寒汰という男の価値は500ペソということだな。」

3人の男は顔を見合わせてせせら笑った。

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食事の席ではまたいつもの寒汰の自慢話が続いていた。

「いいか? 俺は食事するとき、必ず一人500ペソで済ますんだ。その予算を超える食事はしないんだ。

どうだ?俺は節約家だろう?俺は偉いだろう?俺を尊敬しただろう? ゲヒヒヒヒ」

寒汰一人がどんな安飯を食おうと知った事ではないが、食事をおごる相手にする話ではないな、と3人は苦笑した。

しかし、寒汰は3人の冷やかな反応には全く気づく様子はなかった。

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「俺はな、日本ではもっと節約家なんだ。俺はな、臭皇(くさおう)のまかない料理は

必ず卵かけご飯と決めているんだ。たまごかけご飯なら安いからな。

どうだ?毎日卵かけごはんを食べてる俺は節約家だろう?俺を尊敬しただろう?ゲヒヒヒヒ」

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3人は呆れた。寒汰は釧路でも毎日コンビニの安い弁当を食っているとは聞いていたが、

まさか毎日店で他の従業員にも無理やり卵かけごはんを食べさせているとは思わなかったのである。

この寒汰の卵かけご飯ネタの詳細は当ブログで、また改めて紹介する予定だが、

寒汰のドケチっぷりはとにかく想像を絶していた。 真実をそのまま書いてもネタとしか思われないレベルなのである。

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話題がユッケの話に移った。

「焼肉用のユッケを生で食べたらまずいですよねえ」

3人の男たちは、日本で起こった食中毒事件の話で盛り上がっていた。 すると、寒汰はキョトンとした顔をしながらこう言った。

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「お前らはバカだな。生食用のユッケなんか高いだろう?焼肉用のを生で食べればいいんだ。 その方が安いだろう?ほら、このユッケ、生で食え。」

3人の男たちは呆れた。

まず、寒汰の関心が「安いの話」しかないことにあきれた。

さらに、いくら安物が好きだからと言って、日本で死者まで出ているこの時分に 生のユッケを他人にすすめる神経が信じられなかった。

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「ねえ、寒汰さん、さすがにそれは危ないですよ。食中毒を起こしますよ。」

それに答えて寒汰が言った言葉に3人の男は耳を疑った。

「大丈夫だ。食中毒を起こしても死ぬのは俺じゃない。死ぬのはお前らだからな。ゲヒヒヒヒヒ」

そう言うと寒汰は心の底から嬉しそうに笑い転げた。

「ゲヒヒヒヒ、どうせ死ぬのはお前ら。ゲヒヒヒヒ、食中毒で死ぬのはお前ら。ゲヒヒヒヒ、 俺、嬉しい。ゲヒーーーヒッヒヒヒッヒ」

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3人の男は黙りこくって、その笑い転げる寒汰を唖然と見つめるだけだった。

寒汰は自分の痛みには恐ろしく敏感だが、他人の苦痛や被害を全くと言っていいほど感じない男なのだ。

他人の気もちが一切理解出来ない人間とはこういう奴なのだと、三人の男たちはつくづく実感した。

(続く)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

6 Responses to 500ペソの価値の男 I

  1. あおいにゃん says:

    すいません。寒汰のあまりの非常識さに興奮してエンターキーに触れてしまい一言コメントになってしまいました。ごめんなさい。 今日から友人がマニラ入りしてます。彼も寒汰物語の大ファンなので寒汰を探しに旧LAカフェに現地の仲間と行くようです。
    先日頂いたメールに寒汰は気が弱いので持ち歩いている危険物を人に向ける可能性は無いとの事でしたが、なにせ頭が不自由でわけのわからん生物なので何をするか見当つかない所もあるかと思います。楽しく読ませて頂いてますがくれぐれも危険が及ばぬ様、気を付けて下さい。続編楽しみにしております!

    • 寒汰の非常識さは本当に凄まじいです。
      焼肉用の肉を生で食えとは、本人がブログで書いてますし、
      寒汰のおごりは500ペソの食べ放題というのも一回や二回ではないそうです。

      ご友人は昨日から魔尼羅入りですか。
      あの臭い珍獣関連情報をメールしておきましたのでご参照ください。

      まあ確かにキチガイですから、いつ千枚通しを人に向けるかわかったものではありませんねw
      そんな寒汰が殺人でフィリピンに永久滞在になる日も遠くないかもしれませんw

      今後とも是非よろしくお願いします。

  2. joe says:

    >他人の苦痛や被害を全くと言っていいほど感じない男

    これに関して激しく同感です。病気と思えるほどですね。

    • 今回、日本で寒汰をざ・マニラ時代から知る人を含めて何人かと会いました。
      寒汰は本物の病気というのは確かなのですが、それも複数の病気を併発しているようです。
      自己愛性人格障害以外の精神疾患を抱えているそうです。

      路上で見知らぬ人が話しているのを見て
      「俺の悪口を言っているんじゃないか」
      と、寒汰は本気で気にしているそうですが(ネモト関係者からの通報)、
      これもその精神疾患のあらわれだそうです。

      そんな男がフィリピンベテランとして英雄になれる街、魔尼羅の魅力にはもう首ったけです。

  3. 芋洗坂係長 says:

    卵かけご飯を食べているとは驚きです。てっきり落語のように梅干を「見つめて」ご飯を食べていると思っていましたwww

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