携帯電話の修理 – リン秒子

一円で一ペソでも安く買い叩く、これが寒汰の哲学であり、人生そのものでもあった。

  • 数十ペソ安いバイアグラを買うために、数百ペソと数時間を犠牲にして買い物に行く。
  • 数十ペソの買春代を値切り、売春婦たちに総スカン食う。
  • 友人が店に残していく数百ペソのチップをネコババして友人を失う。
  • カラオケ(キャバクラ)で「フルーツの盛り合わせ」の値段を値切り、出入り禁止を喰らう

我々凡人には、わずかな金額のためにもっと大事な何かを失い続けているようにしか見えないのだが、やはりスーパーヒーロー寒汰は凡人ではなかった。

寒汰の考えでは見た目上一銭でも一ペソでも安くなればいいのだ。

実質で大きなマイナスになることを気にするのは男らしくないのだ。

一円でも安く買う、それが男の中の男なのだ。

そしてフィリピンでは、そんな男が誰よりももてるのだ。ただし寒汰の脳内だけでだが。

そんな寒汰はどんなものを買う時でも、必ず中古で買うのを信条としていた。

ゴキブリ色の愛車携帯も女へのプレゼントも何もかも中古品で済ませるのが寒汰の信じる男らしさなのだ。

誕生日プレゼントやバレンタインデーの品でさえ、汚らしい中古品やどこかで盗んできたものを渡すのが寒汰であった。

そんな寒汰に惚れる女は….寒汰の脳内にだけは沢山居た。

.

2011年3月某日のことであった。その寒汰の自慢の中古の携帯電話がぶっ壊れた。

「クソッ、クソッ、俺が安く買い叩いた携帯電話が壊れた。クソッ、クソッ。ゲフッ!」

荒れ狂う寒汰を売春婦リン秒子は呆れて見ていた。

キチガイのヒステリーには付き合ってられない。そう思い、リン秒子が帰ろうとしたところ、寒汰が言った。

「おい!俺を携帯電話屋に連れていけ。この携帯電話を直させるぞ。一ペソでも安くな!ゲヒヒヒヒ」

リン秒子はますます呆れた。

「壊れたなら新しいの買えばいいじゃない。いつも年収が3千4百万円ある金持ちだって自慢してるんだから。」

完全に見下した表情でリン秒子は言い放った。

「ウルサイ!理屈を言うな!お前はもうチップなしだ!」

この言葉にはリン秒子はカチンと来た。

「あ、そ。じゃあいい。私警察に行ってあんたにレイプされたって言うから。」

それを聞いて寒汰は真っ青になって慌てふためいた。もとより小心者の男なのである。

「ひぃ、それだけは勘弁してくれ。警察沙汰になったら、金を払わないといけなくなるだろう?な、怒るなよ。10ペソ余分にやるから。だ、ダメか?じゃあ、11ペソ追加だ。まだだめ? じゃあ、12ペソだ。」

あまりのミミチサに絶望的な気分になったリン秒子だったが、結局1万ペソを寒汰からせしめることで、ロビンソンの携帯電話売り場に連れて行くことにした。

携帯電話ショップにつくと、寒汰はふんぞりかえってリン秒子に言った。

「おい!お前、どこが修理の安い店か調べてこい。ゲヒヒヒヒ」

リン秒子はまた呆れた。

フィリピン人と日本人のハーフ「ジェームス寒汰」と名乗り、自称フィリピンベテランと年から年中自慢している男が、携帯電話の修理の交渉もできないのか。

意地悪な気分になったリン秒子は嫌がる寒汰に自分で交渉させることにした。

「知るか。日比ハーフなんだろう?フィリピンベテランなんだろう?自分で話つけて来いや」

寒汰は慌てふためきながら、大げさな身振り手振りを交えて、携帯電話屋のお兄ちゃん相手に話はじめた。

「あ、あ、あの、アコは… この、えーっと、携帯電話が、ほら、クソッ、壊れたんだよ。こ・わ・れ・た。だから修理な?分かるだろう?修理したいんだよ。安くやってくれよ。ディバ?」

寒汰が得意中の得意のアコディバ語であった。アコとディバ以外は完璧な日本語である。これで通じるわけもない。

携帯電話屋のお兄ちゃんも、リン秒子も寒汰のあまりのみっともなさに吹き出して笑った。

.

「分かった分かった。あんたには無理だね。私が交渉してあげるよ。そのかわり手当はもっと弾んでもらうよ。」

リン秒子は実は結構気の良い女であった。彼女は寒汰と入れ替わり、携帯電話屋のお兄ちゃんと交渉をはじめた。

一軒目での交渉が済むと、リン秒子は寒汰に言った。

「おい!次の店に行くからな。ただしな、てめーは離れてるんだよ。携帯が日本人の持ち物だと分かったらふっかけられるだろう?邪魔だ邪魔。あっち行った!私が呼ぶまで近くに寄るんじゃないよ」

「え…いや… だって、俺は日比ハーフのジェームス寒汰だし.. 日本人って分からない..」

ボケッ!寝言は寝て言え。誰がテメーのそんな嘘信じるんだよ。てめーはどっからどう見ても薄汚い日本のジジイだろうが!こっち来るな!死ね!」

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リン秒子に追い払われた寒汰は、淋しくショッピングセンターの中を徘徊した。

寒汰は心細くて仕方がなかった。

日比ハーフの「ジェームス寒汰」タガログ語も英語も堪能、などというのは大嘘。

何せ日本語の通じる環境から30分以上離れては生きていけない寒汰なのである。

元じゃぱゆきで日本語が話せる通訳替わりのリン秒子がそばにいないと、生きた心地がしないのだ。

トボトボと寒汰は歩きながら、ショッピングセンターの中をいつものようにパシャパシャと盗撮して歩くのだった。

「アコ…つまんない… アコの事忘れないで…」

5分もしないうちに、寒汰はリン秒子のところに帰ってきたが、彼女に思いっきり睨みつけられて「ひぃっ」と飛び退いた。

しかし、また5分もしないうちにもどってくるのだた。

母親から離れられない子供同然であった。

子供なら可愛いのだが、寒汰の場合は一切の可愛らしさがないことだった。

.

「ねえん、もう30分もたったわよ。もう時間が勿体無いわよおん。早く帰りましょうよん」

弱り切った寒汰はオネエ言葉になっていた。

(ホモの寒汰は弱るとオネエ言葉になるのである)

リン秒子はあまりの気持ち悪さに真面目に吐きそうになりながら、こう言った。

「ボケっ!いつも1ペソでもケチるために何時間でも何日でも無駄にするんがテメーのポリシーだって言ってるだろ!暇なボケ老人はおとなしく待ってろ!あたしはこのイケメンの兄ちゃんを口説くのに忙しいんだよ。死ねっ、この嘘つき糞ジジイ!」

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しばらくして、ようやく時計の修理が終わった。

修理代は500ペソ。

しかし、寒汰はリン秒子に1万2千ペソの交渉代を払うことになった。

1万2千ペソもあれば、寒汰の持っている新しい携帯の新品が帰るのであるが、数十ペソをケチって数千ペソを失うのがポリシーの寒汰にはそんな計算もできるわけがなかった。

「ゲヒ!俺、500ペソで携帯電話修理した!俺、節約家!俺、偉い、偉すぎる!ゲヒーーーーーーー!」

寒汰の計算能力は小学生以下、もはや朝三暮四のサル並なのである。

そんな寒汰をリン秒子は呆れながら見下ろしているのであった。

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(以上の経緯は、寒汰本人の2011年3月31日のブログエントリに書かれています。自称フィリピンベテランで流暢なタガログ語を話すはずの寒汰が、携帯電話屋との交渉すらまともにできず、ショッピングセンター内を一人寂しくぶらぶら歩く様子が書かれています。ご興味のある方は比較しながら読んでみてください。)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

8 Responses to 携帯電話の修理 – リン秒子

  1. 芋洗坂係長 says:

    リン秒子姐さん男前すぐる\(^o^)/

    • リン秒子姐さんの行動パターンは、かつて寒汰を相手にしたことのあるポクポクちゃんをモデルにしましたw
      口調は、某魔法少女まどか★マギカの杏子を参考にしました。

  2. GAGA says:

    写真に幼子と母親の写真が出ていませんが、クォータヴィサではなく、配偶者ヴィサだと言いたいんでしょうかね?それとも妄想結婚かな?

    このブログを見たら写真の母子、及び近い人は激怒しそうですが、、、、

    ちょい悪オヤヂの写真もなくなりましたね。何かあったのかな?

    • 寒汰は時々偉そうに夫婦関係や結婚生活について語りますね。
      自分は結婚どころか女と付き合ったことすらないのにwwwwww

      クォータービザも、配偶者ビザだと言いたいんでしょうね。
      まあ、彼の妄想内では本当に結婚していることになってるのかもしれませんがwww

      架空友人に架空メール、架空彼女に架空結婚と、妄想力豊かな寒汰が羨ましいですw

      写真の幼子と母親は本人見つけて訴訟を起こさせますかね..w
      ちょい悪オヤジの写真ですが、勝手に写真を掲載されたSさんが怒り狂ったんじゃないですかw

      寒汰もこっそり写真を削除するくらいなら男らしく刺殺されればよかったのにwww

  3. GAGA says:

    Sさんきっと怒ってるどころかご存知ないですよ。ベテランさん達は寒汰ブログアクセスナンバー1の入出国カードが変わった話とか、不味い飯屋とか、カフェアドリアティコが再オープンするかなんて全く興味がないので寒汰ブログがヒットする訳ないですからSさんの耳にも入りようがないです。

    Sさんが暇つぶしに寒汰ブログを間違い探しに使っているとしたら別ですが、、、、

    • あはは!そういえば、寒汰ブログそのものがフィリピンの本当のベテランには全く知られてませんでしたね。

      まあ、「イミグレカードの書き方」が一番人気のブログですからね〜ww
      そもそもなぜイミグレカードの書き方が必要なのか全く理解できません。
      中学生レベルの英語があれば書けると思うんですが。

      寒汰ブログのまずい飯屋情報や間違いだらけの情報は、間違い探しくらいにしか役立ちませんね。
      あんな情報で喜ぶのは、頭の弱いtakashi(仮名)くらいでしょうねw

      • joe says:

        JALのマニラ路線乗ってみてください。CAさんがイミグレカードの代筆で大忙しですよ。(笑)それほど自分で書けない人が多いって事です。
        ここら辺に寒汰ブログ信者(?)が多い訳が見え隠れします。

      • JALのCAもそれが分かっているから、コールをわざと無視することもあると聞いたことがありますw
        また、たまに日本人女性が乗っていると、「イミグレカードを書け」と偉そうに命令されるみたいですね。

        まあ、そういう人間が寒汰ブログ信者なのでしょうが、そういう信者以上に英語能力もタガログ語能力もも経験もないのが寒汰ですね。

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