He is cheap – ブガウの逆襲 II

マニラベイカフェで散々武男に嫌がらせした寒汰は、とうとう武男に一喝された。
あれだけのことをしたのだから、一喝くらいで済んで良かった方なのだが、とうの寒汰は全くそれを理解していなかった。
「俺、あの男に親切にしてやった。だけどあの男、俺に怒る。俺理解できない!ゲフッ」
寒汰は自分が人に大きな迷惑をかけているのに、それに全く気づかないどころか、自分は良いことをしたと全く逆の勘違いをする癖があった。
寒汰は他人がどうして自分に怒っているのか、いつも理解できないでいた。
これは、子供のころから「人の嫌がることを喜んでする人間になる」ことを目指してきた成果なのだろうか。
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さて、武男に追い出された寒汰はマニラベイカフェを出ざるを得なくなった。
そもそも寒汰は、武男が居ても居なくても、マニラベイカフェでいつも誰にも相手にされていない。
日本でも、フィリピンでも、日本人社会でも、フィリピン人からも、リアルでもネットでも誰にも相手にされない寒汰であった。
寒汰はマニラベイカフェを出て行く時、女の子と楽しそうに談笑する客をみながら悔しそうにこう言った。
「どうせ、あの女らは金が目当てなんだ!ゲフーーーーー。」
しかし、寒汰は自分自身が金を払っても相手にされない人間だということに未だに気がついてなかった。
客観的に自分を見ることなど、微塵もできない寒汰であった。
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店の外に出ると、雨が降っていた。
そして、そこに一人のブガウ(ポン引き)が居た。
寒汰はブガウや物乞いを異常なまでに嫌っていた。
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英語で “He is cheap” ということがある。
cheap には、安い、安っぽいという意味もあるのだが、「ケチ」「セコイ」と言う意味もある。
寒汰はまさにあらゆる意味で cheap だった。
着ているものも cheap、頭の中身も cheap、人間性も cheap そして、性格も cheap なのであった。
自分の友人のチップをネコババしたり、一年に一回きりのバレンタインデーのプレゼントにホテルのフロントからくすねてきたチョコレートを渡す人間は寒汰以外にいない。
寒汰は世界でトップレベルの cheap な人間だった。
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そんな病的なまでにドケチな寒汰にとって、買春代の上前をはねるブガウは不倶戴天の敵なのだ。
それに加えて、寒汰の精神性がブガウと同じレベルに cheap というのもあるのかもしれない。
いずれにせよ、寒汰はブガウを異常に嫌っていた。
そんなこともつゆ知らず、そのブガウは寒汰に擦り寄ってきた。
すると、ブガウや物乞いに過剰な反応を示す寒汰は異常な行動に出た。
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あろうことか持っていた傘の先をブガウにつきつけて威嚇し、
ヒステリックにわめき散らしながら、野良犬の如く相手を追い払おうとした。
「クソッ、俺、ブガウ嫌い!近寄るな!クソっ、俺は一銭も払わんぞ!クソッ!クソッ!ゲフーーーーー!」
これには、ブガウも周辺に居た人間もいたく驚いた。
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ブガウがひるんだ隙に寒汰は脱兎の如く走り去ったが、収まらないのはブガウの方だった。
なにせ、「プライドの高い」フィリピン人である。
(※ よく「フィリピン人はプライドが高い」というが、筆者はそれは誤りだと思っている。彼らは単に忍耐力がない、切れやすいだけである。)
公衆の面前でこんな恥をかかされて腹の虫が収まるわけがなかった。
「あのジジイ!今度見つけたらぶっ殺す!」と激怒していた。
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このブガウの恐ろしい捨て台詞を聞いていたのが、ちょうどマニラベイカフェに入ろうとしていた寒汰の知人、ナインウーマン氏(仮名)であった。
後日、このブガウの恐ろしいセリフをナインウーマン氏から聞いた寒汰はさすがに真っ青な顔になった。
寒汰は普段は威勢のよいことばかり言っているが、実際は誰よりも小心者であった。
自分が攻撃されるとなると恐ろしく弱気になるのだ。
ガタガタブルブルふるえながら、寒汰は逡巡した。
そしてついに決心し、普段は朝鮮労働党の金庫より固く閉ざされた財布をこじ開け
断腸の思いで、タクシーに乗ることにした。
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超弩級に cheap 、ケチの寒汰にとって、タクシーに乗るということはとんでもない贅沢なのだが
さすがに自分の命には代えられないと思ったのだろう。
寒汰はタクシーがマニラベイカフェに到着すると出入口ぎりぎりに横付けさせた。
そしてあたりを確認すると、ドアをあけて一気にマニラベイカフェに駆け込んだのである。
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この話を聞いた、前述のナインウーマン氏(仮名)をはじめ、ネット仲間は寒汰を嘲笑った
「そこまでしてマニラベイカフェに行くかよ」
寒汰の過剰なまでのブガウや物乞いへの反応、そして異常なまでのマニラベイカフェへのこだわりは、cheap そして滑稽ですらあった。
しばらくの間、このブガウ事件は、ナインウーマン氏たちがオフ会をする度に話題になったそうである。
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寒汰は、かつて勤務していた国鉄でも、釧路のキャバクラ(当時はスナック)舞子でも、「あ・魔尼羅(マニラ)」(仮称)でもパライソ(仮名)でも、どこでも揉め事を起こし、皆から異常に嫌われている。
さらに、アトリウムホテルやマニラのカラオケ・バホレディーでも事件を起こし、出入り禁止になったのは今までこの寒汰物語でも報告してきたとおりである。
さらに現地人であるブガウや物乞いとも平気で揉め事を起こす寒汰は、いつか現地人に刺殺されてもおかしくないと思えるのは筆者だけであろうか。
(ブガウの逆襲 完)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

2 Responses to He is cheap – ブガウの逆襲 II

  1. joe says:

    まぁ、早くそうなってマニラ新聞にデカデカと一面を飾ってほしいですけど。(笑)
    この事がホントだったら自然とここまでの行いを出来る人は珍しいですね。

    • この話は「あ・魔尼羅(マニラ)」(仮称)のメンバーには有名な話らしいです。
      ご存じなかったですか?

      この話を教えてくれた方も寒汰は「無形文化財」だと仰ってましたw

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