マニラベイカフェそばのレストランにて II

実はこずえはこの店には一度寒汰と来たことがあった。

数ヶ月前、寒汰が「本当に食事だけでいいから。絶対になにもしないから」というので、仕方なく付き合ったのだ。

食事が終わった後、寒汰はこう言った。

「アコ…. グストアコ….. ソクソク…… タヨ… 出刃?」

(※ 寒汰がマニラベイカフェから連れ帰った女から筆者が直接聞いたのだが、寒汰のタガログ語はこの程度のレベルだったそうだ)

こずえは激しく首をふって拒否した。当たり前である。

脂肪が醜く垂れ下がった顔のジジイ、しかも恐ろしく臭くて気持ち悪いジジイ、そんなジジイとは4500ペソどころか4500ユーロもらっても寝ることなどできない。

(写真は本文とは全く関係がありません)

こずえは、怒って席を立ち「私、もう帰るから。お金!」と言った。

貴重な時間を削って食事につきあったのである。ホテルに行かなくても営業保証はしてもらう必要が有る。

すると、寒汰はぽかんとした顔をして言った。

「金?ああ、金か?金はゼロだ。ゲヒヒヒヒ。ノーセックス、ノーマニーだからな。金が欲しければ俺のホテルに来い。ホテルターヨ出刃? ゲヒヒヒヒ」

寒汰は異常にいやらしそうな顔をして、笑った。

こずえは背筋が凍るのを覚えた。こんな男に関わったのが間違いだった。

こずえは貴重な時間を使って、異常に不快な思いをしただけだった。

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その日以来、寒汰はこずえにつきまとうようになった。

マニラベイカフェに居るこずえのそばによってきて、執拗にタイプだのキュートだの言いまくる。

「ショート5千ペソでどうだ?ゲヒヒヒ」

と寒汰は何度も誘ったがこずえは当然断った。何度も言うが、寒汰は気持ち悪いのだ。

シャブでもやってなければこんな男の相手などできるわけがない。寒汰は女にとって生理的に受け付けない気持ち悪い男なのだ。

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そんな寒汰がこずえの体をベタベタ触りまくる。

「やめて」と言っても全く聞く耳を持たない寒汰であった。

寒汰は他人の感情に配慮するどころか、子供の頃から人が嫌がることしかしない男なのである。

寒汰はこずえの電話番号も執拗に聞いた。もちろん、こずえは教えない。

すると、寒汰は自分のホテル、部屋番号、本名、何日まで滞在かを紙に書いて渡してきた。

こずえはそんなものは即座に捨てたが、すると寒汰は翌日またマニラべカフェまでやってきてこずえに文句を言った。

「イカウ、どうしてアコにテキストしない出刃」

こずえが無視してると、ビール一杯と持ち込んだJINROチャムシルで何時間でも粘ってこずえが店を出るのを待っている。

そう、はっきり言って、ストーカーなのである。

寒汰は実に最低の男であった。

ただでさえ気持ち悪い寒汰にストーカーされてこずえはノイローゼになりそうだった。

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そんな寒汰とまたしても出会ってしまって、こずえは不快、もとい不安極まりなかった。

こずえと児玉はさっさと店を出ていこうとしたが、寒汰は執拗に話しかけてきた。

友達が一人もいない寒汰にとって、一回でも口を聞いた彼らは既に大親友の位置づけなのだ。

他人の気持ちを一切考えたことのない寒汰は、自分がどれほど嫌われているか全く理解していなかった。

「おい、いい物を見せてやろう。これはな、俺の自慢の携帯電話だ。どうだ?すごいだろう?ゲヒヒヒヒ」

児玉とこずえが見ると、恐ろしく汚らしく古い携帯電話を寒汰が持っていた。

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「この携帯電話はな、ヤフオクで4万円で買ったんだ。俺はな、携帯は新品では絶対に買わないんだ。女にプレゼントする時でも必ず中古で買うんだよ。どうだ?俺は賢いだろう?俺を尊敬しただろう?ゲヒヒヒヒ」

さすがはドケチの寒汰であった。女にプレゼントするのにもわざわざ中古の品を渡す男も珍しい。

プレゼントで携帯電話をもらうのに、中古のものだった場合、受け取る相手がどんな気持ちになるかなど全く考えたことのない寒汰だった。

もっとも寒汰にもらったものなど、女たちは皆すぐに質屋に行って換金するだけなのだが。

児玉はあきれ返ってこう言った。

「へー、女の子にあげるプレゼントまで中古の品にするなんて、ケチなんですね。」

すると、寒汰はむっとしてこう言い返した。

「バカ!フィリピンベテランの俺に対してなんてことを言うんだ。俺はケチじゃない。絶対にケチじゃないぞ。俺はお前より年収が倍以上あるんだ。年収3千4百万円もある俺がケチなわけがないだろう。俺はケチじゃなくて節約家なんだ。どうだ?俺を尊敬しただろう?ゲヒヒヒ」

年収とドケチさは全く関係ない。しかも、3千4百万円は寒汰の年収ではなく、臭皇(くさおう)の年間売上だった。寒汰個人の年収はその半分以下である。しかも寒汰の実質年収など児玉より遥かに下だった。

しかし、現実認識能力が霊長類のそれより著しく劣る寒汰は、自分がケチであるということを全く自覚してなかった。

余談だが、寒汰に限らず自称フィリピンベテランには寒汰並のキチガイじみたドケチが多い。これは他国に比べても顕著である。

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「仕方ない、俺がフィリピンベテランの証拠を見せてやろう。ゲヒヒヒ。どうだ?これがフィリピンベテランの証明だ。すごいだろう?俺を尊敬しただろう?俺は偉いだろう?ゲヒヒヒヒ」

寒汰が胸のポケットから取り出したのは、異常に汚くて臭いパスポートだった。

その中の一ページに貼られている Quota Visa が寒汰の見せたいもののようだった。

寒汰のような自称フィリピンベテランは、自分がフィリピンが好きなのと同様、自分以外の人間も皆フィリピンが大好きで、皆、フィリピンに永住するのに恋焦がれていると思い込んでいた。

だから、フィリピンの永住権つきの Visa を持っていることが何よりの自慢なのだった。

そもそもフィリピンに住んでいるわけでもなく、毎月買春旅行に来ているだけの寒汰には Visa の必要すらないのだが、寒汰は自分が「フィリピンベテラン」だと自慢するためだけにこの Visa を取得したのだった。

寒汰にとって永住権がついている Quota Visa をとったことは貴族の称号を獲得したにも等しいのだ。

なお、結婚願望が異常に強いフィリピンベテランたちにとって、フィリピン人との結婚は王位につくほどの価値があるものである。

しかし、児玉はそんなものに全く関心がなかった。

当たり前である。世の中の大多数の人間はフィリピンに関心などないし、出張で行ったところでそこに永住したいとも思っていない。

滞在中、仕事が円滑にできて、楽しく滞在できればそれだけで十分なのである。

寒汰にとっては貴族の称号かもしれないが、世の大半の人間にとって Quota Visa などただの紙屑、汚らしい紙に過ぎなかった。

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面倒くさそうな寒汰の自慢話が続きそうだったので、児玉は咄嗟に話題を変えた。

「そんなに節約が得意なんだったら、安いホテルとか詳しそうですね。」

児玉は、寒汰の汚らしい格好を蔑んだ目で見ながら言った。

年収が3千4百万円もあると豪語する寒汰だが、その服装は御世辞にも清潔とは言えず、まともなホテルに出入りする格好ではなかった。

しかし、寒汰にはそんな児玉の嫌味は全く理解できていなかった。

人の気持ちなど全く理解出来ない寒汰は、完全に質問の意味を勘違いした。

「なんだ? お前も安いホテルに泊まりたいのか? つまりお前も安いオマンコが欲しくてフィリピンに来たんだな。あー、嫌だ嫌だ。ゲヒヒヒ」

児玉は呆れた。そもそも、児玉がフィリピンに来たのは会社の出張である。好きで来たわけではない。

しかし、寒汰のような自称フィリピンベテランは、自分が買春目的でフィリピンに来てるので、自分以外の他人も全く自分と同じで買春のためにフィリピンに来るのだと思い込んでいた。

客観性がかけらもないのが自称フィリピンベテランなのである。

そして、そもそも安いオマンコが目当てでフィリピンに来ているのは、他の人間ではなく、寒汰や自称フィリピンベテラン自身なのである。

「フィリピンの魅力は安いオマンコだけじゃないのに、どいつもこいつも安いオマンコ目当てでフィリピンに来るんだな。俺は、安さの話しをする人間とはそりがあわないんだ。ゲヒヒヒヒ」

フィリピンに通うこと8年間、買春しかしない寒汰。そして年から年中、一銭でもケチる話しかしない寒汰が言った。

寒汰ほど自分自身がみえていない人間はこの世にはいなかった。

(続く)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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