フィリピンベテランの証

(下記の話は、兵藤和也さんから間接的に伺った話です)

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ある時、兵藤和也(仮名)はパサイの日本食料理屋、エダモト(仮称)でマグロ子おばちゃん(仮称)と談笑していた。

兵藤和也はまだ30代前半。マニラに来る日本人では若い方である。

ただ、若いと言っても語学力もあり、海外への渡航慣れもしていて順応性の高い兵藤和也はタガログ語もきちんとした文法で話し、行動能力はマニラ在住者も舌を巻くほどであった。

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そこに、突然、凄まじい悪臭が漂ってきた。

そう、あの寒汰が店に入ってきたのである。

店内に侵入してきた寒汰は誰も呼んでいないのに、勝手に兵藤和也の席に座り、馴れ馴れしく話題に割り込んできた。

どうも寒汰はネモトは自分の店、そこにいる客はすべからく自分のファンだと勘違いしているようだった。

そして、寒汰は人の話をさえぎって、聞かれてもいない自慢話を延々としはじめたそうだ。

ちなにに、この寒汰に対して兵藤和也が寒汰に抱いた第一印象はやはり「気持ち悪い」だったそうだ。

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「お前はダメだ!俺のようなモテ男になるにはまだまだだな。ゲヒヒヒ」

57歳の肉が垂れ下がって異常に醜く臭い気持ち悪いジジイが何を戯言を言うのか、と兵藤和也は思った。

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「お前は女心か分かっていない!でもな、俺は女心を知り尽くしているんだよ。ゲヒヒヒヒ」

母親以外の女性には半径5メートル以内には近寄られたことがなさそうな気持ち悪いジジイが女心を語るとはどんな冗談なのか?

頭がおかしいのではないかと兵藤和也は思った。

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「お前はダメだ!もっとタガログ語を勉強しろ!ゲヒーーー!」

少し話をすれば相手のタガログ語のレベルは分かるものである。

少なくとも寒汰が話すのは凄まじい日本語の発音で、しかも数単語しかタガログ語を知らないのは誰の目にも明らかだった。

その寒汰がタガログ語が流暢な兵藤和也に「タガログ語を勉強しろ」と言うのには、滑稽にもほどがある

兵藤和也は内心寒汰を馬鹿にした。

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兵藤和也がバカにしたのが、伝わったのか、寒汰は少しむっとしたようだ。

「いいか? 俺はな、フィリピンベテランなんだ。毎月フィリピンに来てるんだ。どうだ?すごいだろう。俺がな、フィリピンベテランの証をみせてやろう。ほら、これだ? どうだ?すごいだろう?ゲヒヒヒヒ」

寒汰が兵藤和也に見せたのは、Quota Visa だった。

兵藤和也は呆れた。

フィリピンに住んでいるわけでもない、ただ毎月通うだけなら別に Quota Visa (永住権が付与される)などいらない。

いや、出国税を毎回徴収されるわけだからむしろそんなものはない方がいい。

しかし、この寒汰は自分がフィリピンベテランだと自慢するためだけに4万ドル(約320万円)の金を積んで Quota Visa を取得したらしい。

そんなものを自慢する気がしれない、と兵藤和也は心底寒汰を見下した。

そもそも、寒汰は普段、一ペソ単位で金をけちるくせに、こういう無駄に数百万円も使うことが多い。

ケチや節約家どころか、単に金の使い方を知らないだけである。

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バカらしいので、兵藤和也は寒汰を置いて、とっとと帰ろうとした。

すると、場の空気が読めないらしい寒汰はこう言った。

「おい!これから飲みに行くぞ!ゲフッ」

兵藤和也は非常に不快な気分になった。何故こんなに汚らしい気持ち悪いジジイにいきなり命令口調で言われなければならないのか。

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どうも寒汰は相手が若いと舐めてかかる癖があるようである。

若い相手や自分よりフィリピン歴が浅い相手を連れ回して偉そうに説教することで、普段自分が周囲にバカにされている憂さを晴らしているようなのである。

しかし、たいていの人間は、少し付き合えば寒汰がろくにフィリピンのことを知らないことは見抜いた。

そして、嫌気がさした彼らは皆、寒汰とはすぐに距離をとるのである。

だいたい寒汰のようなトラブルメーカーに付き合っていると危険極まりない。

危険から距離を取る」とは、まさにこのことだろう。

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兵藤和也は気持ち悪い寒汰の誘いはきっぱりと断り、その後エダモト(仮称)には寄りつかなくなった。

男前で、おばちゃんにも優しい兵藤和也が寒汰のせいで店に来なくなり、マグロ子おばちゃん(仮称)の寒汰への憎しみもまた一層深まったという。

(完)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

6 Responses to フィリピンベテランの証

  1. AC says:

    え、quota visaって何百万もするんですか???
    知らんかったです。。。

    「高給取りのビジネスオーナー」らしい寒汰、
    investor visaでもとってあっちで会社でも興せば
    いーのに w

    ちなみに「どの国でも」永住ビザとか呼ばれているもので
    あっても、国、政府の都合でいつでもrevokeできますし、
    現に米国でもされてます。国籍剥奪は普通の国ではまあ
    しないですけど。

    • Quota Visa は確か4万ドルをフィリピンの口座に保有する必要があったような。

      Investor Visa ですか。
      エダモト(仮称)トラベルで扱ってないと寒汰には取得できませんけどね〜ww

      永住権を持っているだけで、それも、フィリピンの永住権でどうして自慢になるのか分かりませんw
      米国でもグリーンカード持っているからっていばる人なんていませんよ。
      皆、自分にいるから取得するだけですw

      ま、フィリピンベテランというのは、知れば知るほど面白いですね〜ww

  2. joe says:

    永住権ですか?寒汰が持っているのはリタイヤメントVisaじゃないでしょうか?

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