すばらしき無料の世界 II (ケチのヒーロー)

魔尼羅ベイカフェ(旧LAカフェ)で寒汰は、サトー氏を捕まえて飲んでいた。

いつものJINROチャムシルをガブガブ飲みながら寒汰は言った。

「おい!サトー!お前、俺がどうして無料が好きか知ってるか?ゲフーーーーー!」

ドケチだからだろう!とサトーは怒鳴りたかったが、ぐっと我慢した。キチガイに恨みを買うほど怖いことはない。

「俺もな、昔はこんなにケチじゃなかったんだ…」

珍しく殊勝な様子になった寒汰にサトーはびっくりした。そして、これまでの寒汰の異常なケチさを思い出していた。

  • レストランで、友人が店に残そうとしたチップを素早く自分のポケットにしまい込んだ
  • 売春婦を連れ出し30分で二発した。その後、売春婦は家に帰り、約束通りホテルに戻ってきた。しかし寒汰が無断で出かけていたのででホテルに入れなかった。ホテルに帰ってきた寒汰は売春婦が戻ってないのに怒り、「戻ってくると言ったのに約束を破った」と逆ギレしてバーに怒鳴りこみ、買春代を取り戻そうとした
  • いつも飲食店にJINROを持ち込んで水と氷だけを無料で出させて飲む
  • 飲食店では、二人で定食を一つしか頼まない
  • ただし、無料の突き出しだけは何個でも頼んで食う
  • カラオケ(KTV)で、女を指名すると、女が自分の席を離れた時間をストップウォッチで測り、「18分しか席にいなかった。だから料金も18/60しか払わない」とごねた。(もちろん、18分以外の時間はヘルプの女に寒汰は好き放題セクハラしていたのだが)
  • カラオケ(KTV)で、「フルーツを出せ。量は1/4でいいから値段を1/3にしろ」と強要する
  • 百枚3千円の看板が出ていた名刺屋に行って、「10枚でいいから300円で作れ。」と強要した。
  • 自分の店、臭皇(くさおう)の従業員が店で携帯電話を充電しようとしたら、電気代(おそらく数十円)を払えと強要した。

前代未聞、空前絶後のドケチさを誇る寒汰が昔はケチではなかったというのなら、さすがにサトーも興味があった。

寒汰は言った。

「サトー、俺の店、臭皇(くさおう)はな、年間3千4百万円の売上があるんだ。だから俺は金持ちなんだ。俺、偉いだろう?」

金持ちというほど大した金額ではないが、サトーはあえて突っ込まなかった。話の続きが知りたいからだ。

「俺はな、昔は金払いがよかったんだ。当時は臭皇(くさおう)はもっと売上があったし。俺は通訳兼、下の世話をしているバクラにも金を使ってやったんだ。そうだな、一人あたり一日69ペソは使ってたな。」

一人69ペソではむしろケチじゃないかとサトーは思ったが、突っ込みたくなるのをぐっと堪えた。

「でもな、俺はある時気づいたんだ。奴らがぼってるんだって。フィリピン人や現地在住のタガログ語が話せる連中には安く売るくせに、俺にはいつも高い値段で売り付けやがる。」

そりゃ言葉が通じない寒汰なら外国人料金を取られても仕方が無いだろう、とサトーは思ったがまた堪えた。

「はじめてフィリピンに来たときはな、俺は友人のピナの手配でヘリテージホテルに宿泊した。一泊20000PHP。いったいあれは何だったのか」(※ 2005年6月22日の寒汰ブログ)

そりゃぼられすぎだと、サトーは思わず笑ってしまった。ま、寒汰のように異常に汚く臭く、性格の悪いオヤヂのホテルを手配など金をもらってもするのは嫌な人間が多いだろうから、むしろそのじゃぱゆきは親切とさえ言えるかもしれない。

「しかもな、ヘリテージホテルの目の前にあるEDSAコンプレックスまで、歩いて行くのは『危ない!』と言われてタクシーを利用したんだ。タクシー代に千ペソ払ったが、釣りはなかった。それがフィリピンスタイルだと言われたんだ。」

サトーは笑いを堪えるのが必死だった。普段偉そうに「フィリピンベテラン」を自称しているくせに、並の素人以下ではないか。

それも仕方ない。寒汰はフィリピンに毎月通うようになって9年たつ今でさえ、フィリピンのことはろくに知らず、別名を使ってフィリピン保育園(仮名)サイトに質問しているくらいなのである。

寒汰が英語もタガログ語も全くできないのは9年前(2002年)から全くかわりがない。

「俺も当時は鴨だった。EDSAコンプレックスで、バーファイン代は1万ペソ払っていた。通訳のバクラはそれがディスカウント価格だと言っていたからな。連れて帰った女は俺の大好きなローティーンのロリ娘ではなくて、妊娠線がはっきり入っていた。」

EDSAコンプレックスのバーファインで1万ペソ払う男なぞ聞いたことはない、とサトーは呆れた。

「でもな、俺は釧路のフィリピンパブ『マンコー・クィーン』に何年も通って一度足りともSEXできなかった。だから一万ペソで確実にSEX出来ると聞いて興奮したんだ。」

サトーは少し、寒汰に同情した。いくら異常に汚くて臭く、女の子に生理的に受け付けられない寒汰とはいえ、何年も通って一度もSEXできないのはやはりかわいそうであった。フィリピンパブなど、初めて行ったその日にSEX出来ることも少なくない。

彼女らは気が合えば金など払わなくても誘ってくる。店に通う必要すらない。毎日店が終わったあとに自宅に呼んで無料でSEXする人間も多いのだ。しかし、寒汰のように汚くて臭ければどんなに金を払っていてもSEXはさせもらえないのだと、サトーはつくづく思った。

だんっ、と寒汰はテーブルを叩いた。周囲の人間は驚き、ただでさえこの臭い人間から距離をとっていのが、さらに離れた。LAカフェの一階席の1/3のスペースは人がいなくなってしまった。

「それなのにな、フィリピンでは200ペソからオマ◯コが買えるんだ。数年間、俺に誰も教えてくれなかったけどな。」

フィリピンでは200ペソで買春できるのは確かであるが、それはローカルの薄汚い店で、シャワーもろくに浴びてないよな汚い娘がマグロで寝るだけである。普通の日本人なら無料でも買いたいとは思わないだろう。

さらに、彼女らは日本語など一切使えないから、そもそも寒汰が買えるわけがなかった。

寒汰は「200ペソでオ◯ンコが買える」と騒いでいるが、例によって自分が経験したわけではなく、知ったかぶりだろう、とサトーは思った。

(※ 筆者は2006年に寒汰に会った際、この200ペソで買えるオマ◯コについて直に質問したことがある。すると、寒汰は凄まじい悪臭を放ちながらシドロモドロになっていた。彼自身は見たことも経験したともなく、他人から又聞きした話を偉そうに語っているのは確かだろう。)

「ぼられまくっていたと聞いてな、俺は傷ついたんだ。俺はものすごいきずついたんだぞ!俺、怒る!ゲハーーーーーーー!」

偏執的な自己性愛の持ち主の寒汰らしかった。寒汰のような狂人は自分が傷つくことが何よりも耐えられない。そして自分が傷つけられた恨みを絶対に忘れられないのだ。生涯恨みを持ち続ける。それでいて、自分が他人を傷つけることに関しては全く無頓着なのである。

一言でいえば、大迷惑な存在であった。

「ぼられまくって傷ついた俺はな、復讐をするためにケチになることにしたんだ!俺はな、ケチになって、俺からぼったくった奴らに仕返ししてるんだ!俺、賢い!俺、偉い!ゲヒーーーヒッヒッヒッヒ!!」

サトーは呆れた。自分がぼられたからといって、全く関係ない人間に対してケチになるなど、完全に筋違いである。怒りの矛先を完全に履き違えている。

さらに、寒汰の周辺の人間が少々高い値段を請求するのはある意味正当なのである。

英語もタガログ語も全く分からない。海外経験もまったくなく傍若無人でわがままなだけの男を世話するのであれば、誰しも少しは値段をぼったくりたくなる。

気心も通じて、面倒のないフィリピン人相手や、好意のある人間より値段が高いのは当たり前ともえいる。

それを傷つけられたと思うこと自体、勘違いである。

ちなみに、フィリピンに初めて訪れる際、じゃぱゆきが手配することは珍しくないが、それなりの良い関係であれば、2千ペソ前後の安めのホテルを手配されることは珍しくない。

(ちなみに筆者も初めての魔尼羅では馴染みのじゃぱゆきが予約した一泊1700ペソのホテルに泊まった。長期滞在用のホテルで、食事は彼女が毎日つくっていた。ホテル代の支払いは普通にホテルに直接行った。)

彼女らは嫌いな客の財布からどんなに金が飛び出ようと気にしない。しかし、自分と「それなりの関係の人間」の財布は自分の財布だと思い、節約したがるのだ。もちろん、キックバックをとることもしない。

待てよ、とサトーは思った。

そもそもじゃぱゆきやフィリピン人が寒汰のような汚らしい日本人に無駄金をバンバンと使わせる行為は、一種の腹いせ、自分たちがさんざん汚らしい客に嫌な思いをさせられてきた復讐の意味がこもっているのではないか。

そして、ぼられた寒汰が今度はドケチになるということで、逆に復讐をしている気分になっている。

つまり、暗黒に魂を囚われたクズ人間どもは互いに悪意を交換しあっているのだとサトーは感じ、少し納得した。

寒汰の場合、その復讐心にくわえ、生まれ育った環境が極貧だったのもあって、偏執的に異常なドケチになったのであろう。

「最高だ!俺、ずっとボラれて来た。だから復讐の機会を待った結果、ケチになれた!俺がケチのヒーローになる!ケチのヒーローになるとずっと言い聞かせていた!俺、ケチになってフィリピン人に復讐できて幸せ!俺、傷つけた奴許さない!俺、偉い!俺、偉すぎる!ゲヒャーーーッヒヒヒヒヒヒッヒヒ!」

寒汰は絶叫してそのまま倒れた。ずいぶんと酔いがまわってるようである。

寒汰が倒れている隙に、サトーは馴染みのウェイトレスを呼び寄せ、耳打ちした。

ウェイトレスは少し緊張した面持ちでこっくりと頷いた。そして、何やら怪しげな卵を持ってきた。

「寒汰さん、無料の突き出しですよ。」

すると、寒汰はむくっと起きた。無料と聞けば、いつどんな時でも、何でもいくらでも食べれる寒汰なのだ。

寒汰は急いでがっついた。「無料!付け出し!俺、食べる!俺、無料のものなら何でも食べる!」

付け出しだと「付け出し横綱」とかかよ、それは突き出しだよ、とサトーは思ったが、何も言わなかった。

寒汰のような無教養の人間に正しい日本語を期待するのが無理なのである。

30分後、魔尼羅ベイカフェ(旧LAカフェ)から轟音が聞こえた。

酔客の一人が、爆弾を飲み込んで自殺を計ったというのである。

その酔客は人間離れした異常に臭い男であったが、生命力の方も人間離れしており、腹の中で爆弾が破裂したというのにきょとんとした顔で座っており、さらに「付け出し持ってこい!もちろん無料でな!」と叫んでいたそうである。

– すばらしき無料の世界 (ケチのヒーロー) 完 –

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

2 Responses to すばらしき無料の世界 II (ケチのヒーロー)

  1. デバンガーZ says:

    「悪意の交換」とは卓見であると思われ。
    なおヘリテージは正規料金でスイートが33,000ペソするので、これに宿泊したのならば「善意」であろうwwwww

    • ははは、スイートですかw
      寒汰には一生縁がなさそうですねwww

      しかしあんなに汚くて臭くて嫌なオヤヂの手配をしてやるなんて、じゃぱゆきも親切ですね。
      私なんか4万ペソもらったって願い下げですw

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