知ったかぶりII – フィリピンへの旅行客数

寒汰はグッチャグッチャと音を立てながら、汁を店のほうぼうに飛ばしながら汚らしく大根おろしを食べていた。

寒汰の飛ばした汚らしい液体は店のはしまで飛び、客の顔にまでかかった。

その客は「痛い!」と悲鳴をあげた。

エダモト(仮称)においてある漫画にかかった液体は、ジュッと音をたて溶け始めた。

ただの大根おろしであるが、寒汰が触れると強度の酸性液に変化するようであった。

やはり寒汰はタリマンドではなくて、酢酸入りのシニガンを食べるせいなのだろうか。

高野ジアスターゼ、うまいな!ゲヒヒヒヒヒ!」

寒汰が言った。もちろん、高野ジアスターゼなどこの世に存在しない。

高峰譲吉博士が発見し、その名をとって命名されたタカジアスターゼのことを言いたいらしいが、なぜ高峰が高野に変換されるかは謎だった。

「おい!もっともってこい!もちろん無料でな!ゲヒヒヒヒ!」

あの豪胆なエダモト(仮称)のマグロ子おばちゃん(仮称)はもはやすすり泣き始めて居た。

寒汰はシラス大根おろしを50個食って、まだ飽き足りないようだった。

パサイにある日本料理屋エダモト(仮称)のマグロ子おばちゃん(仮称)はさすがに言った。

「ちょっと!寒汰さん、いい加減にしなさいよ!このシラスは日本からわざわざ空輸してるのよ!貴重なんだからもう食べないでよ。」

すると寒汰は逆切れして言った。

「日本とフィリピン、魚の味同じ!空輸する奴がバカ!俺、知恵オタク!俺、偉い!ゲヒヒヒヒ!」

味音痴の寒汰には日本とフィリピンで魚の種類が全く違うことも気がついてなかった。

なにせ大きさも形も全く違うフィリピンの牡蠣と日本の牡蠣の違い(たとえて言えば、オレンジとミカンくらい違う)にも気づいていない寒汰なのだ。

エダモト(仮称)のマグロ子おばちゃん(仮称)は、これ以上言っても無駄だと思い、黙りこみ、そしてボロボロと泣きはじめた。

あの大きな体のマグロ子おばちゃん(仮称)が泣きはじめたのを見て、さすがに寒汰も悪いと思ったのか少し神妙な顔をした。

「ゲフッ!このシラス、日本から運んでるのか。あの運び屋がやってるんだな。考えたらあいつらも凄いな。あいつらも形を変えたマニラ在住者だな!ゲヒヒヒヒヒ!」

店内で食事中だった運び屋のN矢氏はそれを聞いて、とても嫌そうな顔をした。

運び屋は形を変えた在住者ではなくて、正式に在留許可を持って住居もあるのだと寒汰は知らなかったのだ。

7年間毎月フィリピンに通ってるくせに相変わらず寒汰はそんな知識もなかった。

やがて潮を引くように店から客が居なくなった。

寒汰が来るといつものことだった。

パサイの日本料理店、エダモト(仮称)のマグロ子おばちゃん(仮称)は、ボロボロ泣きながら言った。

「見なさいよ!あんたが来るといつもお客さんがいなくなるじゃないのよ!少しは反省しなさいよ!」

すると、寒汰は不思議そうな顔をして言った。

「俺、知ってる!フィリピンの旅行客!12月より1月が多い!だからお前儲かる!俺にもっと上納金渡せる!俺、もっと金持ちなる!俺、偉い!ゲヒヒヒヒヒ」

寒汰は根拠ないことを言うのが大得意であった。ちなみにフィリピンでは12月より1月の方が旅行客が多いということはない。

筆者が調べた限り、2005年から2009年までいずれも、むしろ12月の方が旅行客が多いのである。

(フィリピン統計局のレポートを筆者がグラフ化したのが下のものである。)

しかし、自分の勝手な思い込みだけで世の中を語る寒汰にはそんなことは全く知る由もなかった。

そもそも知ったかぶりが当たり前の寒汰にとっては、もはや事実などなんの意味も持たないのであった。

「俺、物知り!俺、チエオタク!俺、偉い!ゲヒヒヒヒヒ!」

寒汰とマグロ子おばちゃん(仮称)以外誰も居なくなったパサイの日本料理店、エダモト(仮称)に寒汰の嫌な笑い声とマグロ子おばちゃん(仮称)のすすり泣きが響いていた。

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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