結婚願望 I

寒汰は凄まじく結婚願望が強かった。

自分が妾の子供であり母親が苦労する(寒汰の父親には他に三人の妾が居た)のを見てきたのも関係あるのか、とにかく寒汰は子供の頃から結婚したくてしたくて仕方がなかった。

ついでに言えば、父親と同様、4人の妾を持つことも彼の悲願であった。

しかし、現実は厳しかった。結婚どころか寒汰はそもそも女性に全く相手にされなかったのである。

いや、女性どころか人間に相手にされなかった。

寒汰は子供の頃から極貧であった。そして少数民族ア◯ヌ人ゆえにイジメを受けた。

本州に住む我々には決して理解し得ない部分があるのだろうが、北海道での◯イヌ人への差別、特に昭和30年代、40年代のそれは厳しい物があったようだ。それに関しては筆者も同情を禁じえない。

しかし、寒汰が男にも女にも総スカンを食らっていたのは少数民族以前に、人間として根本的な欠陥があったからだ。

知ったかぶりばかりして、自分の非を決して認めず、何でも他人のせいにする性格では友達ができなくて当然だろう。

その上、異常に臭くてケチなことが決定打となった。

寒汰に近づくような人間は一人として居なかった。

 

そんな寒汰がフィリピンパブに嵌るようになったきっかけの一つは「結婚」への期待があったことは言うまでもない。

そもそも、フィリピンに嵌る男の多くは「結婚への憧れ」「女性への憧れ」が異常に強い。

今まで日本人の女性と付き合ったこともなく、ましてや結婚もしたことがない男が初めて若い女に口を聞いてもらうのがフィリピンパブだからだろう。

女性とまともに付き合ったことのない男にとって、付き合う=結婚なのである。

よく「フィリピーナは二言目には結婚という」と言うが、実際には「オッサンが二言目には結婚と言う」方が多い。

そもそもある程度女性経験があれば女は純真な存在でもないし、ある意味男以上に貪欲で計算高い生き物だと分かる。

どんな美人でも一緒に暮らせば裏の性格も見えるし、う◯こが臭いのも分かる。

幻想などすぐになくなってしまう。

しかし、哀しいかな、素人の女に一度として付き合ってもらったことのないオサーンたちにはそんなことは分からなかった。

そしてそういうオサーンに限って「純情な乙女」などという世迷いごとを語るのだが、何を隠そう、

純情なのは乙女ではなく、オサーンたちなのだった。

そして、オサーンたちは今まで決して果たせなかった結婚という悲願を果たすために時間と金を無駄に使いフィリピンパブに通っているのである。

フィリピンパブに居る男あしらいに慣れたフィリピーナが純情である可能性は天文学的に少ないのだが、オサーンたちは自分のマハルコちゃんだけは違う!マハルコちゃんだけは純情だと根拠なく信じて疑わなかった。

寒汰はその典型的な存在であった。

寒汰はフィリピンパブに居るフィリピーナたちを「商売だけ」「売女」と呼んで毒づいていたが、その実、その売女と結婚したくてしたくてしょうがなかった。

釧路の鄙びたフィリピンパブ「マンコークィーン」に居た35歳(自称25歳)、フィリピン人の旦那と三人の子共がいる(自称未婚)アイリーンに即日婚約を申し込んだのもそんな結婚願望がなせる技だった。

アイリーンとの情けない破局の後、寒汰はフィリピン現地に通うようになったが、やはり結婚への憧れは捨ててなかった。

いつの日か、純情な乙女のフィリピーナと白いチャペルで結婚式をあげるのが人生最大の目的であった。

純情な乙女を求めるならLAカフェなどという外国人を相手に売春する女がたまる援交カフェに来るのは恐ろしく矛盾しているのであるが

そもそも寒汰のような低能人間には論理的思考があるわけもなかった。

 

寒汰がマニラに通いだして7年間が過ぎた。当たり前のことであるが、寒汰は結婚出来てはいなかった。

結婚予定の女ならたくさんいた。

だが、その予定が達成されることは一度としてなかった。

なぜならその予定は寒汰が勝手に思い込んでいるだけで相手は寒汰などと結婚する気などさらさらなかったからである。

当たり前である。顔もそれなりに可愛いピチピチの若い娘が、何を好んで異常に汚くて臭い寒汰のようなオサーンと結婚せねばならないのであろう。

現在寒汰が婚約していると一方的に思っている、自称女子大生の売春婦、アドボ子も寒汰と結婚などする気など微塵もなかった。

ただ、寒汰があまりにしつこいので「そうねー、日本に行って暮らしてみるのも悪くないかな〜」と適当にセールストークしたのを寒汰は

「婚約成立!俺、結婚できる!俺、悲願達成!俺、偉い!ゲヒヒヒヒヒヒ!」

と勝手に勘違いしていただけである。

(続く)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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