フィリピンの食 – 誰でもスーパーマンになれる V

寒汰は生まれてこの方、努力というものをしたことがなかった。

いや、全くないといえば語弊がある。彼にとって努力とは憎んでいる相手を3ヶ月以上粘着質につけまわして家をつきとめたり、そのポストに蛙の死骸を入れたり、家の前に自分のうんこを捨ててきたり、憎む相手の個人情報を2ちゃんで晒したり、そういうものを努力と言うのであれば、大変な努力家であった。

一方、普通の人間が成功するために行う当たり前の努力、つまり勉強したり技術を磨いたり体を鍛えたり、心を鍛えるというそういう努力は全く行ったことがなかった。

そのくせ、他人に認められたい、褒められたいという願望は凄まじいまでに強かった。

もちろん、低能な寒汰がほめられることはほとんどなく、人生の大半において馬鹿にされてきたのであるが、寒汰はそれを自分の努力が足りないとか、才能が足りないのだとは微塵も考えず、有能な人間は「ズル」をしているだけなのだと思い込んでいた。

だから、寒汰は高学歴の人間や社会的に成功した人間を激しく憎むようになったのである。

実は寒汰だけではなく、フィリピンに嵌る日本人には、これに近い発想をする人間は少なくない。

自分の努力や才能がないのを棚に上げ、有能な人間を激しく憎悪してこきおろし、自分のことは凄まじい能力がある人間、本気を出せばスーパーマンのようになんでもできるのだと妄想するのだ。

もちろん、その本気になる時は死ぬまで一度もない

そして彼らは言うのだった。「本気になる環境を用意してくれなかった環境が悪い!生まれ変わったら俺も本気出す!」

もちろん、生まれ変わっても本気になることは一度もない

さて、そんな自分勝手な人間の権化である寒汰だったが、こと食品に関する知識だけは、虚勢ではなく心の底から自信を持っていた。

クビになったとはいえ、寒汰は東◯デパートに数年間勤めたこともあり、今では仮にも釧路でも有数の飲食店、臭皇(くさおう)の経営者なのである。

国語も英語も算数も理科も経済も経営学も何もかも出来ない寒汰だが、食品だけは詳しいのだと誰もが思っていた。

誰より寒汰自身が思っていた。

しかし、現実の寒汰ブログには見も凍るような恐ろしい内容の数々が記されていたのである。

食品・飲食店

  • フィリピンの魚も日本の魚も同じ
    • 誰が見てもフィリピンの魚と日本の魚は同じ種類でも大きく違うのだが、臭皇(くさおう)の経営者の目にはそれが同じに見えるのだろうか。
  • フィリピンの牡蠣も日本の牡蠣も同じ
    • フィリピンの牡蠣は全く違う。大きさからして全く違う。例えて言うならミカンとオレンジくらいの差がある。しかし、これまた寒汰の目や舌には同じ物にうつるらしい
  • 秋刀魚が去年よりまずい!産地偽装だ! (日本のレストランで秋刀魚を食べて大騒ぎ)
    • 秋刀魚は旬になる前では味がぜんぜん違うのは食通なら誰でも知るところ。まさか飲食店の経営者が旬になる前の秋刀魚を知らなかったとは信じがたい。しかも産地偽装だと騒ぎ出すのは理解不能である。
  • ホッケは脂が多いのが美味い
    • 近年のホッケは脂が多すぎて問題になっている。食通なら誰でも知っているであろう。仮にも飲食店経営者が超格安居酒屋しか行ったことのない日雇い労働者と同じような発言をするとは驚きである。
  • 赤身だけで脂がないマグロは不味い
    • 蓄養マグロは全身トロと言うが、えさがよすぎるため。マグロが本当に好きな人は赤身にこだわるということも知らないのは語る資格ない。寒汰はすしざんまいのような安い店でしかマグロを食べたことがないのであろう。
  • 関西では牛肉しか食べない。だから関西では「肉まん」と言えば、牛肉入りを指す。
    • 関西人の誰にも理解できないことである。関西でも肉まんは普通は豚肉が入っている。寒汰の言う「関西」とは地球外にでもあるのだろうか。
  • フィリピンではラプラプが一番うまい魚。だから「フィリピンに過ぎたる物はラプラプ」と言う!
    • 「フィリピンに過ぎたるもの、それはサンミゲールとマンゴー」とはよく言うが、ラプラプとは誰もが初耳である。寒汰の脳内ではマンゴーをラプラプ(魚のハタ)と呼ぶのだろうか。
  • ラプラプは高級魚。クリスマスのお祝いだからとオーダーする奴は贅沢すぎる。安いカニでも食べて満腹になれば十分。
    • この時、寒汰が居たレストランではラプラプはせいぜい300ペソ。一年に一度のお祝いでも300ペソをケチる寒汰の神経は食を喜びとして分かち合うキリスト教徒の娘に受け入れられなくて当然であろう。寒汰は実はラプラプを食べたこともないし、当然値段も知らないのではないだろうか。
  • シニガンの酸味は酢酸。トムヤムクンとシニガンの違いはレモングラスのあるなしだけ。
    • 驚き呆れるばかりである。シニガンの酸味はタマリンドである。そもそも世界のどこに酢酸を入れる料理があるのだろうか?寒汰はお酢と酢酸の区別がついてないと思われるが、酢酸を一気飲みさせながら聞いてみたいものである。なお、トムヤムクンとシニガンの違いがレモングラスだけというのも抱腹絶倒ものである。
  • 大型動物で採ったスープほど味の劣化が遅い
    • クィッテイアオやフォー・ガーで使われるチキンは実は体高2mくらいあるのに違いない。
  • アジア諸国はスプーンとフォークを使って料理を食べるがこれは米軍のGIを真似したのだ
    • GIには関係なく、それ以前のスペインによる刀狩りに起源があると言われている。
    • きっと寒汰の脳内ではやはり400年にわたるスペインのフィリピン支配は削除されており、日本や韓国も米軍に占領されたことなどないのだろう。またインドネシアやマレーシアの旧宗主国も英蘭ではなく米軍に書き換えられているのであろう。
  • カリフォルニア産の【ジェムシードレス】はフィリピンだけで手に入る美味い葡萄
    • 自分で「カリフォルニア産」と書いてあるのだが、なぜフィリピンだけでしか手に入らないのであろう? 冗談で書いたとしか思えない内容。カリフォルニアはフィリピンの一部だと思っているのだろうか?寒汰の世界地図では日本以外の全ての国はアフリカやロシアや南極も全てフィリピンの一部と思っているのだろうか?
  • やはり地元の酒がうまいからフィリピンではJINROやSOUJUを飲む
    • JINROやSOUJUはれっきとした韓国の酒であるはずだが、やはり韓国もフィリピンの一部…なのだろう。
  • 台湾料理をフィリピンで食べるなら本国並み以上の味であってほしい
    • やはり台湾料理の本場は台湾ではなくフィリピン…なのだろう

レストラン理論

  • マニラの Hooters は流行らないに決まっている。なぜならチキンが屋台より高いからである。
    • Hooters はチキンを食べにいくところではない。そもそも屋台に色っぽいお姉ちゃんはいないのだが。
  • 青山の Hooters に行ってきた。値段は Web サイトに出ているのと同じである。
    • Hooters は青山ではなく赤坂にある。行ったこともないのに知ったかぶりをしてると思えるが、きっと寒汰の脳内では過去の修正が可能なのだろう。
  • ライブハウスは嫌いだ。なぜなら音楽が五月蝿いからだ。
    • ライブハウスから音楽をとったらライブハウスではなくなるのだが…
  • KTV(ホステスバー)の売りは女じゃない!食べ物だ!
    • KTVから女をとったらKTVではないのだが..
  • ラーメン屋のメニューにフィリピン料理がなかった!腹がたつから怒鳴り散らしてやった。こんな店潰れる。
    • ラーメン屋はラーメンが置いてあるからラーメン屋である。フィリピン料理を置く必要はないし、そんんなことでなぜ店が潰れるのだろうか?むしろ寒汰が来なくなればかえって店は繁盛すると思われる。

その他にも根菜や黄色野菜の区別、野菜と果物の区別など寒汰は根本的な食の知識を尽くとんでもない方向に間違えている。また、恐ろしく安物の食材しか食べたことがないようであるし、そもそも食材の見分けもついていない。

舌も目も全く機能していない様にしか思えない。

実は寒汰は料理の専門家どころか、ど素人以下ではないか?

恐ろしく安い汚い店で味の素がぶっかかった料理しか食ったことのないオヤヂが知ったかぶりしているのではないか、とそんな疑いが深まっている。

もちろん、そんな疑いは全く知らずに寒汰の妄想の中では寒汰は宇宙一のシェフであり、誰もが理解できないトンデモ食知識をブログで今日も爆発させているのである。

(続く)

 

 

 

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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