俺だけの小さな魔尼羅ワールド – カラオケ(KTV)編 X

正直言って、寒汰はカラオケ(KTV) が大好きであった。

日本で言うところのフィリピンパブ、マニラではカラオケあるいはKTVと言われるそれは

大勢の若い女の子がセクシーなドレスなドレスを着て酌をしてくれるのである。

男ならばこういう場所は嫌いなわけがない。

(実際に通うようになるかどうかは別として)

寒汰も他の男以上に、こういう場所が好きであった。

セクシーできれいで、ケバメのお姉ちゃんたちも大好きであった。

大大大だーい好きであった。

ただし、寒汰は魔尼羅に通いだしてから、カラオケにはあまり通うことはなかった。

その理由はいくつかある。

  1. 金がかかる (たいした値段ではないが、ドケチの寒汰には大問題であった)
  2. 他の客がモテモテなのを見せつけられる (寒汰の自尊心をひどく傷つけた)
  3. 寒汰はどの女の子にも全く相手にされてない (多くの女の子は指名料いらないからと逃げ出した)
  4. 一度として凸凹どころか店外デートすらできない

異常に性欲のつよい寒汰である。

嫌々とはいえ、なんとか凸凹させてもらえる置屋にくらべて、カラオケは寒汰にとってはやらずぼったくりであった。

もちろん、他の客は自由に女の子と店外で会い、凸凹しまくっているのであるが

一切女の子に拒絶されている寒汰はそんな他人の話を涙を流しながら悔しがって聞くしかないのであった。

いつしか、寒汰はこういう負け惜しみを言うようになった。

「カラオケ、ぼったくり!詐欺師が経営してる!俺、賢いからいかない!」

「俺、綺麗な女嫌い!女なんか服脱がせたら同じ!」

「カラオケの女、化粧うまいだけ!女はすっぴんだけ大事!」

「俺、カラオケに行くのは食事するのが目的!女なんか目的じゃない!凸凹できなくても悔しくない!」

酸っぱいブドウの典型であったが、寒汰にはその負け惜しみが他人の誰にもバレバレであることがまるで気がついてなかった。

寒汰は自分自身でカラオケは酷いところだと自分で言い聞かせ、魔尼羅通いを初めてからずっと避けてきたのである。

 

その寒汰がここ最近はカラオケに通うようになったのである。

理由はいくつかある。

まず、寒汰の行動範囲が異常に狭いことがあげられる。

フィリピンは別に買春だけが魅力ではなく、他にもたくさん魅力がある国である。

首都・魔尼羅での買春以外にもいろいろな場所で楽しむことが可能である。

しかし、英語もタガログ語も全く話せず、極度に小心者の寒汰はフィリピンの国内線すら自分一人で乗ることはできなかった。

さらに、国内線の飛行機どころか、長らくタクシーすら友人の助けなしでは乗ることができなかった。

その寒汰の数少ない友人である TOSHIYA 氏はよくこう語っていた。

「あの寒汰のオッサン、笑いもんやで。フィリピンに通いだして3年以上にもなるのにマニラ以外一回も行ったことあらへん。

ワシがおらな、あの寒汰のオッサン、国内線の飛行機どころかアンヘレスも一人で行きよらへんねんで。

ほんまお笑い種やで。ガッハッハッハ。」

ちなみに、TOSHIYA氏に付き添ってもらって行ったカガヤンデオロでは寒汰は

ただの公園を「ここは援交場所だ!俺、発見!俺、偉い!」と勘違いして大騒ぎし、

目の前にある風俗店の写真をとっておきながら英語が読めないのでそれをただのレストランだと勘違いしていた。

語学ができないゆえの勘違いである。

 

寒汰は自分では語学が堪能だという勘違いはますます激しくなるばかりであったが、フィリピンに何十回通ってもタガログ語は相変わらず数単語しか話せず、英語は至っては相変わらず全くできなかった。

そんな寒汰であるから、フィリピンに何十回通おうと、行ける場所は恐ろしく限られていた。

マニラで日本語が通じる場所、風俗店。この恐ろしく狭い世界が、寒汰にとってフィリピンの全てであった。

寒汰にとってはフィリピン経済とは自分が行く日本料理店の客の入りだけであり、自分が行ったときにたまたまその店の客が少なければ、フィリピン全体が二桁成長の好調なパフォーマンスを示していても

「フィリピン経済、大不況! 国が壊れる!俺、心配!」と、大騒ぎした。

寒汰にとってLRTに乗ってチャイナタウンに行くことさえ大冒険であり、一つの外国に行くかのように興奮するできごとであった。

ただ、この日本語の通じる風俗店=フィリピン全体=世界全体だと勘違いする向きは寒汰に限らずフィリピンに買春に行くオヤヂによくある勘違いであることは付け加えておかなければならない。

 

さて、語学が全くできない寒汰にとって、日本語が通じないレストランで食事をすることは大冒険であったが、本人にはその意識はあまりなかったかもしれない。

というのは、フィリピン人は何より「分かったふり」をするのがうまい国民である。

さらに金さえ渡せばなぜか言語の壁を超えても言葉が通じるのである。

「おい、イカウ、俺、あの女とちょっと話したい。あの右端の女だ。分かるかイカウ?」

と言って20ペソでも渡せばフィリピン人はこの日本語が全く分かってなくても

「オオ、ワランプロブレマ」

と、女を連れてくる。

本当に不思議なのだが、金さえ渡せばなぜか言葉が通じるようになる国なのである。

 

もちろん、逆に寒汰がフィリピン人の話を理解できるかといえば、そんなわけは全くなかった。

寒汰が清水の舞台から飛び降りる覚悟で入ったローカルレストランで交わされる言葉は寒汰には全く理解できなかった。

しかし、寒汰には人一倍の妄想力があった。

だから寒汰は勘違いすることで、自分が理解できていると思い込んでいた。

「お姉ちゃん、あの今入ってきた異常に汚らしい客さぁ、追い出した方がいいんじゃない?ウワッ、こっち見た!気持ちワリィ!! 私、注文とりに行きたくないよ!」

これが寒汰の耳にはこう聞こえた。

「お姉様、今、入ってきたあのとっても節約家タイプの素敵な男性、私、大好き♪ 今晩あの人のホテルに泊まりにいこうかしら。あら、こっちを見たわ!いやーん、私とろけちゃう!」

凄まじい勘違いなのだが、彼にはその違いを指摘しててくれる友人もいなかったし、自分で間違いに気づく客観性もなかった。

ただ、自分の周囲の人間がどんどん居なくなることだけは感じていた。

彼はそれが自分に原因があるとは考えず、「我、群居せず!俺、集団が嫌い!だから一人でいるだけ!」とうそぶいた。

彼をひたすら避けている魔尼羅の買春オヤヂたちはこのあまりにバレバレな負け惜しみを冷ややかに笑っていた。

「何を格好つけて「我、群居せず」だ。友達がいないだけだろ?『我、群居できず』が正解だろw」

 

話がそれたが、寒汰の行動範囲は異常に狭かった。7年間毎月フィリピンに通ったが、行った場所は魔尼羅の風俗店と日本語が通じる場所だけ。

しかも友達もいない。

それでも、日本で居場所のない寒汰はひたすら魔尼羅に通い続けたのだが、その全ての場所で女の子に嫌われるのは時間を要しなかった。

それも、寒汰が2010年の今年になって、カラオケ遊びに回帰してきた理由であった。

(続く)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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