レストラン – アドボ子物語 IV

異常に臭くて汚い日本人、寒汰は毎月フィリピンに来ているようだった。

本人はタガログ語に堪能なつもりらしいが、彼の話すタガログ語は単語を適当に並べてまくしたてるだけだった。

正直ほとんど聞き取れなかったが、日本人のエロ爺の言うことは9割9分パターンが決まっているのでアドボ子にとって分かったふりをすることは難しくはなかった。

さらに自分でも不思議なのだが、金をもらえると思うと、こういうエロ爺の言葉も意味が分かってくる。またしても自分はある種の天才ではないかとアドボ子は時々考えるのであった。

初回時、わずか千ペソしかアドボ子に渡さなかった寒汰だが、MacBook や一眼レフカメラ、さらにフィリピン売春婦の間ではレクサス車以上のステータスシンボルである iPhone4を買ってくれそうな勢いである。

それを考えるとあの吐きそうに汚らしい寒汰と同じ部屋の空気も3分くらいなら吸ってもよい気になってくるアドボ子であった。

ともあれ、寒汰がまた魔尼羅にやってきたらしい。

アドボ子は新品の iPhone 4 を思い浮かべながらうきうきした気分で寒汰の待つ汚らしいホテルに向かう支度をしはじめた。

結局ホテルについたのは約束した時間から7時間遅れであった。

他の男と凸凹するのにあからさまに不機嫌な顔のヒモンをなだめるために生凸凹をし、その後寒汰と凸凹する気持ち悪さを誤魔化すためについシャブを一発決めたのがよくなかったようだ。

遅刻が当たり前のピーナでも7時間遅刻はさすがにまずいかと思いながら待ち合わせ場所のファーストフード店に入ったアドボ子であった。

店に入った瞬間、アドボ子が目にしたしたのは真っ赤な顔をして怒鳴り散らす寒汰の姿であった。

寒汰は気の弱そうな店員相手に、なにやら店員に大声で怒鳴り散らしていた。

アドボ子の姿をみると、寒汰は喜んで寄ってきた。そしてアドボ子に言った。

「◯◯△*☆□」

しかし、アドボ子にも寒汰が何を言っているか全く理解できなかった。

アドボ子には知る由はなかったがこれはフィリピン嵌りの日本人がタガログ語のつもりで話している「アコディバ語」と言われる言語で、自分のことを「アコ」語尾に「ディバ」をつけているだけで後は完全に日本語なのだ。

日本語など「キモチイイ!」「イタイ!」「イク!」の三単語しか知らないアドボ子に分かるわけがなかった。

ただそこはやはり iPhone4 への期待のなせる技。店員と寒汰の話を注意深く聞いていると言語の壁を超えて彼が何を要求しているか、なんとなく分かってきた。

どうやら寒汰はファーストフード店に酒を持ち込んで酒盛りをしていたらしい。

それを店員に注意されれると逆ギレして

「うるさい! 俺、酒好き!好きな場所で飲む!文句あるか!」

と怒鳴りちらし、また

「俺、つまみ欲しい! 料理の量 1/4 でいいから値段を 1/3にしろ!」

「客の要求聞く、それ、いい店! 教えてやった俺、偉い! 」

と言っていたようだ。

あまりに常識はずれな要求に店員もアドボ子も当初信じられなかったが寒汰が本気なのを知って二度驚きおののいてしまった。

(続く)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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