ビジネス・スキル – 寒汰と自称女子大生の売春婦「アドボ子」物語 II

アドボ子はシャブを決めたおかげもあって、汚く臭い日本人客の相手を無事終えた。

19歳の女子大生だという真っ赤な嘘を信じて勝手に興奮しているこの寒汰という男の言動はあまりに滑稽でアドボ子は何度も吹き出しそうになったが、そこはプロ。アドボ子は渾身の演技で純情娘に徹した。

少し余談になるが水商売では重要なスキルがある。

客が求めるものを本能的に察知して、それにあわせた演技をすることだ。ビジネス全般への普遍性があるスキルだが売春婦の世界ではとりわけだ。

客が「どんな酒が好きか」と聞いてくれば、客の期待する返事を予測して「ワイン」「ウィスキー」「ビール」「安っぽいジンロ」と返事を使い分ける。

客の好みが分からなければ「あなたが好きなものなら何でも好きよ〜♥」と言う。

フィリピン人は職業や男女を問わず、この人に「あわせる」スキルが高い。特に売春婦はこのスキルに天性の才能を持つものが多い。

アドボ子も顔がブサイクな分を補うためか、このスキルだけはなかなかのものであった。

なお、このフィリピン人が得意な「あわせる」スキルを知らずに

「ウェッヘッッヘ、この女は俺の好みにぴったりだぜ」

とアホな勘違いする単純な日本人オサーンは多い。

この寒汰はまさにその典型であった。

中でも援交カフェにたまる売春婦はこのあわせるテクニックに長けている者が多く、アドボ子もその例外ではなかった。

寒汰の好みにあわせてアドボ子が

「私、19歳の女子大生」「援交カフェなんか本当は大嫌い」「今日は友だちに無理に連れられて来ただけ」「援交なんて今までしたこともない」「今日は見物だけして帰るつもりだったんだ」

「でも、おじさん優しそうだからちょっとついていってもいいかな、って。てへっ」

「私、カメラ好きなんだよ〜。一眼レフっていいなあ〜(質屋で高く売れるから)」

「Mac っていいよね〜(質屋で高く売れるから)」

「日本料理も食べてみたいなあ。(それで金がもらえるなら)」

と言うたびに、寒汰は有頂天になっていく。

「そうかそうか、やっぱり素人は違うな。ぐえっへっへ。」

とげひた笑いをする。

それを見てアドボ子も「よし、またクリティカルヒット!これでチップ千ペソは上積みね。」と頭の中でひたすら足し算をして上機嫌になるのであった。

全く違うことを想像しながら上機嫌になる二人の姿ははたからみれば異様でさえあった。

ところが、チップを渡す段になって状況が変わった。

寒汰がアドボ子に渡した金がたったの千ペソだったからである。

アドボ子は意外な金額の少なさに露骨に不快な顔をした。それを見て寒汰は言った。

「俺、普段500ペソしか渡さない。でも、俺、金持ち! お前を気に入った!だから千ペソも渡した!これ、大金!」

と自慢気に言う。寒汰のあまりにの勘違いぶりにアドボ子はあきれ果てた。

しかし、その時寒汰が言った。

「お前、素人!女子大生! だから俺、次会ったらお前に MacBook やる!一眼レフカメラもやる!だから携帯番号教えろ!」

寒汰が使っている MacBook もカメラも異常に汚くて臭かったが、型は最新型なので質屋に持っていけばそれなりに金になりそうだ。

うまくやればこの汚く臭いお古でなく新品を買わせることもできるかもしれない。

明日の千ペソより今日の百ペソを選ぶことで有名なフィリピン人だがさすがに数万ペソが稼げるとなると事情が違う。

アドボ子は気を取り直し、この気持悪い老人に携帯電話の番号を教えることにした。

これがアドボ子の不幸の始まりであった。

(続く)

About plastictakata
暗黒の国フィリピンやパッツン天国タイでばら撒き、自主パト、凸凹するのが趣味の57歳のオサーンです

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